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「AI研修が実質無料」は危ない|詐欺・不正受給に巻き込まれないために

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人材開発支援助成金は研修費の全額負担が条件です。協力金・キャッシュバック・謝礼で負担が減ると不正受給になるおそれがあります。返還・2割の違約金・5年の不支給・公表など会社が負うもの、営業トークの見分け方、様式第28号と自主申告を解説します。

更新日:2026年10月27日。出典・個別条件は本文の確認日を参照。

※この記事にはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含む場合があります。確認日:2026年10月27日

結論

  • 人材開発支援助成金は、研修費を会社が全額負担していることが条件です。協力金・キャッシュバック・返金・クーポンなどで負担が減ると、条件を満たさないとみなされます。
  • 不正受給と判断されると、受け取った額の返還に加えて2割の違約金と年3%の延滞金、5年間の雇用関係助成金の不支給、会社名の公表などがあります。助言した社労士や関わった研修会社も対象になります。
  • 「実質無料」「負担ゼロ」と言われたら契約せず、管轄の労働局に相談してください。すでに受け取ってしまった場合は、調査の前に自主申告すると原則として公表されません。

なぜ「実質無料」は条件に反するのか

人材開発支援助成金は、会社が払った研修費の一部を国が助成する制度です。厚生労働省のパンフレットは、研修費を「支給申請日までに全額負担すること」を条件にしています。支給要領でも、研修会社などから返金を含む金銭を受け取った場合、その経費は対象外とされています。

大事なのは「名目」ではなく「お金の実態」です。広告協力費、アンケート謝礼、別の業務の委託料など、名前を変えても、研修会社側から戻ってくるお金があれば負担が減ったと判断されます。滋賀労働局の注意喚起では、「専門家監修だから不正ではない」という説明も手口の一つとして挙げられています。

対象外・不正になる例

厚生労働省のパンフレットと、滋賀労働局の注意喚起に書かれている例をまとめます。

営業でよく聞く言い方資料での扱い
「研修後にキャッシュバックします」返金で負担していない場合は支給要件を満たさない
「アンケートに答えると協力金が出ます」研修を実質無料にするアンケート協力金は負担額の減額とみなされ、経費助成の対象外
「導入事例の取材に協力すれば謝礼を払います」宣伝協力の謝礼として不相当な金銭を受け取るのは不正の手口として例示
「研修費はこちらが紹介する会社から借りれば大丈夫」研修機関が紹介した事業者からの借入れで払い、全額負担として申請する例が不正の手口として例示
「受講すると製品を無料(割引)で提供します」「ギフト券を差し上げます」製品の無料・割引提供、ギフト券も負担の減額にあたる
「助成金を使う場合はこの料金です」同じ内容で助成金を使う場合だけ著しく高い受講料は、差額が対象経費にならない場合がある

あわせて、AI研修とセットになったAIツールの導入費は対象経費ではありません(研修費は対象)。「ツール代込みで助成される」という説明にも注意してください。

不正受給と判断されたときに会社が負うもの

項目内容
返還不正のあった期間以降に受けた助成金
違約金不正受給額の2割
延滞金年3%
不支給期間不正受給の日から5年間、ほかの雇用関係助成金もすべて受けられない(全額を返すまでは延長)
公表取消額などの合計が100万円以上なら会社名・代表者名などが公表の対象。自主申告でない場合は例外なく公表
関わった人不正を助言した代理人・社労士、関わった研修機関にも同じような措置。研修機関が会社と連帯して返還する場合もある
刑事悪質な場合は刑事告訴の対象になる場合がある

たとえば助成金100万円を不正に受けた場合、返還100万円と違約金20万円に、延滞金が加わります。さらに5年間はほかの雇用関係助成金も使えなくなるため、影響は研修1回分にとどまりません。

営業トークを見分けるチェックリスト

次のどれかに当てはまる提案は、契約前に労働局へ相談してください。

  1. 「実質無料」「負担ゼロ」「助成金で全額戻る」と説明される
  2. 研修の契約とは別に、広告・取材・アンケート・紹介などの契約を結ぶよう求められる
  3. 研修の前後に、研修会社や関係する会社からお金・ギフト券・製品が渡される
  4. 研修費の支払い資金を貸す会社を紹介される
  5. 助成金を使うかどうかで料金表が変わる
  6. 「専門家監修なので問題ない」「みんなやっている」と言われる

料金がふだんから公開されていて、助成金の有無で値段が変わらない研修会社を選ぶと、比べやすく安心です。研修会社の選び方は研修会社の選び方で説明しています。

価格の説明書類(様式第28号)と自主申告

様式第28号「受講料等の価格設定に関する疎明書」

2026年5月14日の支給要領の改正で、人材育成支援コース・人への投資促進コース・事業展開等リスキリング支援コースでは、支給申請のときに「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」を出すことになりました。5月14日の時点で支給申請をしていない場合や、申請済みでも支給・不支給の決定が出ていない場合が対象です。研修の料金がどう決められたかを説明する書類なので、見積もりの段階で研修会社に料金の根拠を確認しておくと手続きがスムーズです。

もう受け取ってしまった場合

労働局の調査の前に、不正や不適正な受給について全ての事実を申し出ることを「自主申告」といいます。自主申告をして速やかに全額を返した場合、原則として会社名は公表されません(特に重大・悪質な場合を除く)。不正かどうか自分で判断できなくても、申請先の労働局に早めに連絡してください。

よくある質問

Q. 研修とは関係ない名目の謝礼なら問題ありませんか?
A. 名目ではなく実態で判断されます。研修に関連して研修会社側からお金などを受け取ると、負担が減ったとみなされるおそれがあります。受け取る前に労働局に確認してください。

Q. 研修会社が「不正にはならない」と言っています。
A. 判断するのは労働局です。不正と判断されたときに返還などを負うのは申請した会社です。書面の説明があっても、労働局に事前に確認してください。

Q. 不審な勧誘を受けたら、どこに伝えればいいですか?
A. 管轄の都道府県労働局か、最寄りのハローワークです。契約していなくても情報提供ができます。

参考にした情報(確認日:2026年10月27日)

シロボ
シロボのひとこと

同じ前提で比べると、違いを確かめやすいよ。

不正受給の注意喚起を確認する

厚生労働省は「訓練経費は無料にならない」ことや不正受給事業主の公表を案内しています。協力金やキャッシュバック等で経費の実質負担が減る提案は、契約前に労働局へ確認してください。特定の事業者を、その表示だけで詐欺と断定する説明ではありません。

今回確認した公式情報

確認日:2026年11月5日。各リンク先の適用日と利用条件をご確認ください。